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災害時アマチュア無線連絡会 活動マニュアル 試案


T 平常時の心得
   会員は、突然の災害や、突如の活動要請に対処できるように、日ごろから、持ち出し装備を準備して
  おくことが推奨される。屋外でのボランティア活動に適した衣類や装備に加え、次のものを直ちに持ち
  出せるように準備しておくことが望ましい。
    430MHz帯FM携帯型無線機、イヤホン類、ログ等筆記具類、簡易録音機器、簡易外部アンテナ(車
    載用ホイップアンテナ等)及び機器との接続用同軸ケーブル、予備電源、若干の工具や関連資材

U 発災後の初動体制
 1 地震や洪水などにより、会員の居住の地域が災害の事態にみまわれた場合は、まずは自分自身、家族
  の安全確保や生活建て直しに気を配り、自身の職業や社会的立場に基づく業務等を遂行し、それらに万
  全を配した後になおボランティア活動が行える余力がある者のみ、活動に参加するものとする。
 2 これに参加する場合は、基本的には、433.500MHz,F3Eにてワッチ(聴守)を維持することとする。時々、
  ワッチしていることを伝送することが望ましい。その際、他の会員からの応答が得られれば、自分自身
  の周辺の被災状況を伝えるとともに、各地の被災状況などを聞き取り、会員相互において情報をプール
  する。
 3 会員外及び被災地外からの、災害アマチュア無線協力の申し出を確認した場合は、同周波数における
  ワッチの維持を依頼する。

V 活動要請の受任
 1 市社会福祉協議会から活動要請がなされる場合は、会長にそれが伝えられることになっている。会長
  への伝達が不可能の場合は、市社会福祉協議会に届けてある名簿により会員への伝達が試みられること
  になっている。であるから、市社会福祉協議会から、活動要請が届いた場合は、それは連絡会に対する
  活動要請であるので、U−1項に鑑み、自分に余力があり対応可能の条件があれば、それを聴き取ると
  する。
 2 活動要請を聞き受ける場合は、その要請事項の詳細を聴き取る。協力が求められているその具体的内
  容について、その時点において把握している会員の状況を鑑み、応じられると判断できるものであれば、
  協力する旨を返答する。応じることが難しいと判断される内容であれば、協力できないとはっきり返答
  する。又は次の順位の者への伝達を依頼する。
 3 活動要請を受任した場合は、以後、その者が市社会福祉協議会との連絡窓口となる。併せて、自分が
  もつ手段を用いて、各会員に、要請を受けたこととその内容を伝達する。
 4 市社会福祉協議会以外の機関等からの活動要請についても、以上の原則に基づき応対する。
 5 市社会福祉協議会等から活動要請を受任した場合は、具体的な要請事項があれば、その遂行を優先す
  る。協定があるからとりあえず要請したというような活動要請であれば、次の、連絡会としての自主的
  行動の手順で活動を進める。

W 連絡会としての自主的行動
 1 市社会福祉協議会等から具体的な活動要請がなくても、以下の状況が認知されたならば、会員個人の
  発意により自主的に活動を進めることを推奨する。
 2 市域に災害が発生したときは、規定に基づき、市社会福祉協議会が入居している市総合福祉施設内に、
  災害ボランティア支援センターが立ち上げられることになっている。この立ち上げに並行して、連絡会
  に協力要請がなされることになっているが、この要請がなくても、災害ボランティア支援センターが立
  ち上げられることを認知したら、その機能を支援するとして自発的に参画することとする。
 3 この場合、Xの各項の手順に基づき、市総合福祉施設内にベース局を設営する。
 4 災害ボランティア支援センターが受理したボランティア派遣依頼については、支援センター内での掲
  示という手段により、支援センターに参集したボランティア活動希望者に知らされることになっている。
  また、条件的に可能であればインターネットを通して広報されることになっている。連絡会は、これに
  付加する活動として、ベース局より、支援センターの活動状況、及び支援センターが受理したニーズや、
  ボランティアを求めているという内容等を伝送し、ワッチしている各局の自発的活動展開を求めること
  をもって、ボランティア活動希望者の参集支援をする。

X ベース局の設営
 1 活動要請の連絡を受けた会員、又は災害ボランティア支援センターの稼動を確認した会員で、市総合
  福祉施設までの移動が困難でない者については、Tの心得に沿って準備しておいた装備等を持参の上、
  市総合福祉施設に参集する。
 2 市総合福祉施設に参集した会員は、次の作業を行う。
  @ 市社会福祉協議会との事前確認事項として、災害発生時に連絡会が市総合福祉施設内で活動するこ
   とになった場合は、市総合福祉施設の三階の一角を、活動拠点の場所として確保されることになって
   いる。そこに持参した機材機器類を配置する。市社会福祉協議会の備品の使用の了承を得て、それら
   を活用し、ベース局を設営する。
  A 市総合福祉施設屋上のグランドプレーンアンテナを組み立て、それと同軸ケーブルを介して、持参
   した無線設備に接続する。
  B 以上の作業が終了したら、433.500MHz,F3Eにより、災害時アマチュア無線連絡会のベース局の運用
   開始の旨を伝送する。その際、この局が行う通信は、電波法第52条4号に規定される非常通信に該当
   する通信が含まれることを伝える。既に通信を行っている状況があれば、理解とワッチの協力を求め
   るとする。これを受信した会員は、ワッチしていることを返答する。ベース局は、ワッチ局の配置状
   況と、伝搬状況を把握する。必要の都度、ロールコールを行う。ベース局にて運用するものは、自局
   のコールサインに併せて連絡会のベース局であることを付け加えて伝送する。
  C ベース局運用者は、活動要請に基づく業務の遂行の合間に、[に記した、連絡会として活動できる
   事項について、ワッチしている各局に伝送する。

Y ベース局の撤収と法に基づく報告
 1 要請機関より要請された活動が終了し、参加各局も活動と無線の運用を終了したと確認できたら、ベ
  ース局を撤収する。
 2 ベース局を運用したもののうちの代表者は、撤収の後、電波法第80条1号による報告を書面にて行う。
  そこにこの際の通信に参加したすべての局名と活動の概要を記すものとする。他の参加局は、この報告
  をする必要はないとする。

Z 運用周波数について
 1 433.500MHz,F3Eとする。
 2 この周波数による運用が、他の重要通信に混信を起こすおそれがある場合、また通信妨害がある場合
  は、433.520、.540、.560と、20kHzずつ上の空きチャンネルを探し、そこに移動する。その場合におい
  ても、.500において並行してワッチを続け、災害無線を申し出る者を移動先に誘導する。

[ 想定される活動について
 1 災害時におけるアマチュア無線の機能を活用したボランティア活動として、次のものが想定される。
  a 会員間通信等によって収集、整理した被災状況等の情報を、関係機関に提供すること。
  b 一般電話、携帯電話の輻輳時、機能停止時等における、拠点間通信の手伝いをとおして関係者の業
   務遂行を支援すること。
  c 会員を通常通信不能地域へ派遣し、その地域の情報の収集と伝送の手伝いをすること。
  d 被災地情報、救援ニーズの情報等を、広域に向けて発信すること。
  e その他のアマチュア無線の機能を活用したボランティア活動。
 2 これらは、ニーズを有するものからの連絡会への直接の要請のほか、災害ボランティア支援センター
  を経由しての要請、会員の自発的活動展開によるニーズの探知等というプロセスによって得られるもの
  と考えられる。






アマチュア無線の機能を活用したボランティア活動について


 アマチュア無線の運用については、電波法及びこれを補完する各種規定により、数々の規制が設けられています。アマチュア無線機器を活用しての活動は、アイデアとしてはいくつでも思い浮かびますが、アマチュア無線局として運用する場合は、定められた規制の範囲内で行わなければなりません。

 当会は、災害時におけるアマチュア無線の機能を活用したボランティア活動と銘打って、いくつかの活動を想定していますが、それらの活動が、その規制に逸脱してしまっているのではないかという疑念を生じさせることがあります。これについて検討したいと思い、これを記しました。

 緊急避難(刑法第37条第1項)や非常通信(電波法第52条4号)に該当する事態であれば、人命等を守る、救うという趣旨のもと、規制に逸脱した行為をしたとしても、その違法性が阻却される原理があります。しかし、当会が想定しているボランティア活動の範囲では、それに該当する場合は少ないと思った方がよいでしょう。すなわち、私たちのボランティア活動は、そのほとんどはアマチュア局の通常の通信として運用するので、定められた規制の範囲内で運用しなければならないことになります。

 まずは、アマチュア局を運用する従事者として、頭においておかなければならない規定を並べることにします。

 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項の範囲を超えて運用してはなりません(電波法第52条)。アマチュア局は、金銭上の利益のためではなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究のためのものです(電波法施行規則第4条第1項第24号)。

 ボランティア活動として動くとしても、アマチュア局を運用する者としての基本的な態度は堅持しなければなりません。自分が電波を出すときは、当然、無線局免許申請書に記載したその無線設備を用いなければなりませんし、無線局免許状に記載された通信事項と空中線電力の範囲内で通信しなければなりません(ベース局でのアンテナの共用を想定していますが、同一の空中線が自局の免許状に記載されておれば可と解釈しました)。これに逸脱すれば、電波法違反として、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(電波法第110条)ことになってしまいます。

 アマチュア局は、他人の依頼による通信を行うことはできません(無線局運用規則第259条)。

 他者の業務の支援をうたっている当会の活動はこれに抵触しないかということですが、以下の考え方により抵触しないと理解しております。

 当会の会員は、各々がアマチュア局の個人局の免許を持っているわけですが、その会員の皆がボランティア活動に関心と意欲を持っております。自分が見聞きした状況を同じ関心を持つ会員の局に伝えたいとして、アマチュア業務として、自発的に通信するものです。これを依頼による通信とは捉えません。結果として、他者の利益、人助けになることとはいえ、自分の好きで、あくまでも自己満足を得るための行為として行うものです。法に触れたり自分の意に背いた通信内容があれば、それは自分の判断で取捨選択し、個人の発意と責任で通信します。依頼者という言葉を用いると業務を委託されたというニュアンスを感じてしまいますが、依頼者を困っている人と捉えて、「困っている人がいて、こんなことを望んでいるという情報を得たよ」というような意味合いの送信であれば問題ないと思っております。

 これを受信する者も、ボランティア活動に関心と意欲を持っている者であり、受け取った伝聞の処理については、その者の個人の責任で、自発的活動展開として行動するわけです。受信者として、「そのように困っている人がいて、そんなことを望んでいるのであれば、自分として、行動を起こすべきと思い至った」という心情が湧き出て、自発的に行動を開始するわけです。

 当会は、そのようなことを通して人助けをしたいと思っている人々の集まりなのです。

 以上の見解をもって活動の礎にしているわけですが、勝手な解釈の部分があるかもしれません。皆様からの、忌憚のない意見を望みます。



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