恤救規則 窮民救助法案 救護法



   恤救規則

      (明治七年十二月八日 太政官達 第百六十二号)

済貧恤救ハ人民相互ノ情誼ニ因テ其方法ヲ設クヘキ筈ニ候得共目
下難差置無告ノ窮民ハ自今各地ノ遠近ニヨリ五十日以内ノ分左ノ
規則ニ照シ取計置委曲内務省へ可伺出此旨相達候事 
    恤救規則
一極貧ノ者独身ニテ廃疾ニ罹リ産業ヲ営ム能ハサル者ニハ一ケ年
 米壱石八斗ノ積ヲ以テ給与スヘシ 
  但独身ニ非スト雖モ余ノ家人七十年以上十五年以下ニテ其身
  廃疾ニ罹リ窮迫ノ者ハ本文ニ準シ給与スヘシ 
一同独身ニテ七十年以上ノ者重病或ハ老衰シテ産業ヲ営ム能ハサ
 ル者ニハ一ケ年米壱石八斗ノ積ヲ以テ給与スヘシ 
  但独身ニ非スト雖モ余ノ家人七十年以上十五年以下ニテ其身
  重病或ハ老衰シテ窮迫ノ者ハ本文ニ準シ給与スヘシ 
一同独身ニテ疾病ニ罹リ産業ヲ営ム能ハサル者ニハ一日米男ハ三
 合女ハ二合ノ割ヲ以テ給与スヘシ 
  但独身ニ非スト雖モ余ノ家人七十年以上十五年以下ニテ其身
  病ニ罹リ窮迫ノ者ハ本文ニ準シ給与スヘシ 
一同独身ニテ十三年以下ノ者ニハ一ケ年米七斗ノ積ヲ以テ給与ス
 ヘシ 
  但独身ニ非スト雖モ余ノ家人七十年以上十五年以下ニテ其身
  窮迫ノ者ハ本文ニ準シ給与スヘシ 
一救助米ハ該地前月ノ下米相場ヲ以テ石代下ケ渡スヘキ事






   窮民救助法案

・一八九〇年(明治二三)に開設された第一回帝国議会に時の山縣  政府が恤救規則改正案として提出したもの。         ・審議において活発な論戦が交わされた。修正されつつも、結局  廃棄となった。                     

第一條 此ノ法律ニ據リ救助スヘキ窮民ハ左ノ如シ  第一種 不具廢疾長病不治ノ疾病重傷老衰其ノ他災阨ノ爲メ自      活ノ力ナク飢餓ニ迫ル者  第二種 養育者ナキ孤兒及引受人ナキ棄兒迷兒 第二條 市町村内ニ滿一年以上住居ヲ占メ若クハ滯在スル者又ハ  市町村内ニ於テ出生シタル者又ハ婚姻若クハ養子縁組ニ因リテ  市町村内ニ入リタル者前條ニ該當スルトキハ其ノ市町村ノ公費  ヲ以テ救助スヘキモノトス一年ノ期限ハ現ニ住居ヲ占メ若クハ  滯在セシ初日ヨリ起算ス但監獄病院貧院癲狂院及其ノ他ノ公設  所ニ入リ看護ヲ受クル時間ハ滯在ノ期限中ニ算入セス 第三條 前條ニ掲クル一年ノ期限ハ間斷ナキヲ要ス但一時市町村  ノ區域外ニ出ツルコトアルモ其ノ滯在地ヲ移スノ意アラサリシ  コトノ明瞭ナルトキハ其ノ日數ヲ期限中ニ算入ス  此ノ法律ニ依リ公費ノ救助ヲ受クル日數ハ期限中ニ算入セス 第四條 十三年未滿ノ幼者ハ父母ニ隨伴シテ救助ヲ受クルモノト  ス 第五條 窮民アルトキハ先ツ所在市町村二於テ救助ヲ與フヘシ  救助費用ハ第二條ニ該當スルモノハ其ノ市町村ノ負擔トシ其ノ  他ハ町村ノ救助ニ係ルモノハ郡ノ負擔トシ市ノ救助ニ係ルモノ  ハ府縣ノ負擔トス 第六條 救助ハ雨路ヲ凌クヘキ居所並生存ニ必要ナル衣食ヲ給與  シ疾病アレハ醫療ヲ施スヲ以テ目的ト爲ス其ノ死亡ノ時ハ相當  ノ埋葬ヲ爲スヘシ 第七條 窮民ニシテ勞役ニ堪ユル者ハ成ルヘク相當ノ勞役ニ就カ  シムヘシ勞役ヨリ生スル賃錢ハ救助費用ヲ負擔スヘキ府縣郡市  町村ニ收入シ本人ノ救助費ヲ控除シ猶剩餘アルトキハ救助ヲ止  ムルノ際之ヲ本人ニ交付スヘシ 第八條 救助ヲ受クル兒童ニハ成ルヘク相當ノ職業ヲ教習セムヘ  シ 第九條 窮民ヲ救助スルニハ如何ナル場合ト雖モ本人ニ現金ヲ給  スルコトヲ得ス 第十條 窮民ニシテ救助ヲ止メタル後本人職業ニ就キタルトキハ  漸次其ノ救助費用ノ全部又ハ幾部ヲ償還セシムルコトヲ得但救  助ヲ止メタル時ヨリ六箇月以内及三年以後ニ於テハ償還セシム  ルコトヲ得ス 第十一條 府縣郡市町村ニ於テ救助費用支出ノ後他ニ民法上ノ養  育義務者アリテ資力アルトキハ之ヲ義務者ヨリ償還セシムルコ  トヲ得 第十二條 府縣郡立ノ貧院アルトキハ救助ヲ與ヘタル市町村ノ申  立ニ依リ場所アル限リハ市町村ノ費用ヲ以テ窮民ヲ引受ケ入院  セシムヘシ 第十三條 窮民ハ自己ノ家族ヲ除ク外數人連結シテ救助ヲ願出ツ  ルコトヲ得ス  窮民ニシテ救助ヲ願出ツル者アルトキハ市町村長ハ其ノ戸籍家  族養育義務者ノ有無生計其ノ他一身上ノ情態ヲ調査シ其ノ出願  ヲ相當ト認ムルトキハ之ヲ許可スヘシ  調査ノ爲メ必要ト認ムルトキハ市町村長ハ家宅ニ臨檢シ物件ヲ  搜索シ其ノ他必要ナル事項ノ尋問ヲ爲スコトヲ得  本條ノ調査ハ救助中時々之ヲ行フコトヲ得 第十四條 市町村長ハ前條ノ調査ヲ警察官吏ニ囑託スルコトヲ得 第十五條 行旅死亡人ニシテ引取人ナキ者ハ所在市町村ニ於テ假  埋葬ヲ爲シ其ノ本籍氏名詳ナル者ハ其ノ家ニ通知シテ引取ラシ  メ且死亡人ニ屬スル費用ヲ辨償セシムヘシ若シ其ノ家赤貧ニシ  テ辨償スルコト能ハサルトキハ第五條救助ノ例ニ依リ市町村又  ハ府縣郡ヨリ辨償スヘシ  行旅死亡人ノ本籍氏名詳ナラサル者ハ其ノ發見ノ場所年月日及  本人ノ相貌景状并付屬物品ヲ詳記シ三十日間其ノ市町村ノ公告  式ニ依リテ公告シ猶二回以上新聞紙ニ掲載シ公告ノ日ヨリ九十  日ヲ過キテ本籍氏名詳ナラサルトキハ其ノ費用ハ第五條救助ノ  例ニ依リ郡若クハ府縣ノ負擔トス  行旅死亡人ニシテ倒死變死ニ係ル者ハ埋葬前警察官及醫師ノ立  會ヲ以テ檢視スヘキモノトス 第十六條 行旅死亡人所持ノ金錢ハ埋葬及救護ノ費用ニ充テ其ノ  他所持ノ物品アルトキハ其ノ家ニ通知シタル上處分スヘシ若シ  本籍詳ナラサルトキハ前條ノ期限ヲ過キテ之ヲ公賣シ其ノ費用  ヲ扣除シ剩餘ハ一年間市町村役場ニ保管シ仍ホ本籍氏名詳ナラ  サルトキハ府縣郡ノ收入ニ歸ス 第十七條 窮民救助費用ノ負擔ニ關シ町村相互ノ間爭論アルトキ  ハ郡參事會之ヲ裁決シ其ノ郡參事會ノ裁決ニ不服ナル者ハ府縣  參事會ニ訴願シ其ノ府縣參事會ノ裁決ニ不服ナル者ハ行政裁判  所ニ出訴スルコトヲ得  町村ト郡若クハ市トノ間前項ノ爭論アルトキハ府縣參事會之ヲ  裁決シ其ノ府縣參事會ノ裁決ニ不服ナル者ハ行政裁判所ニ出訴  スルコトヲ得  市ト府縣トノ間爭論アルトキハ行政裁判所ニ於テ之ノ判決スヘ  シ 第十八條 郡市町村ニ於テ救助ノ費用多額ニ昇リ負擔ニ堪エサル  トキハ府縣ハ郡市町村會ノ申立ニ依リ府縣會ノ議決ヲ以テ其ノ  費用ヲ補助スルコトヲ得 第十九條 明治四年六月二十日布告明治六年四月第百三十八號布  告明治七年十二月太政官第百六十二號達恤救規則ニ依リ從前國  庫ヨリ支出シタル金額ハ此ノ法律施行前三箇年ノ平均ニ依リ人  口ヲ標準トシ毎年各府縣ニ配布スヘシ  前項ノ金額ハ各府縣ニ於テ郡市町村ノ救助保持費ノ一部ニ充ツ  ヘシ 第二十條 府縣知事ハ窮民救助ノ方法并費用辨償ノ手續ニ關シ府  縣會ノ議決ヲ經テ規則ヲ設クルコトヲ得 第二十一條 地方有志者ニ於テ公然義捐金穀等ヲ募リ窮民ヲ救助  セントスルトキハ募集シタル金穀等ヲ市町村長ニ委託スヘシ此  ノ場合ニ於テ市町村長ハ公費救助ト同一ニ取扱フヘシ 第二十二條 町村制第百十六條ニ依リ一切ノ行政事務ヲ共同處分  スルカ爲ニ設ケタル町村組合ハ窮民救助ニ關シテハ一町村ト視  做ス  町村制第百十六條ニ依リ特ニ窮民救助ノ爲メニ設ケタル町村組  合モ亦前項ニ同シ 第二十三條 自活シ得ヘキ者ニシテ詐僞ノ方法ヲ以テ救助ヲ受ケ  タルトキハ一月以上二年以下ノ重禁錮ニ處ス 第二十四條 此ノ法律ハ明治二十四年四月一日以後市制町村制及  郡制ヲ施行シタル各府縣ニ施行ス  明治四年六月二十日布告明治六年四月第百三十八號布告明治七  年十二月太政官第百六十二號達恤救規則明治十五年九月第四十  九號布告行旅死亡人取扱規則其ノ他此ノ法律ニ牴觸スル成規ハ  此ノ法律施行ノ地ニ於テ總テ之ヲ廢止ス  此ノ法律ハ明治十三年六月第三十一號布告備荒儲蓄法ト相關渉  セス    救護法            (昭和四年四月二日 法律第三十九号)    第一章 被救護者 第一条 左ニ掲グル者貧困ノ為生活スルコト能ハザルトキハ本法  ニ依リ之ヲ救護ス  一 六十五歳以上ノ老衰者  二 十三歳以下ノ幼者  三 妊産婦  四 不具廃疾、疾病、傷痍其ノ他精神又ハ身体ノ障碍ニ因リ労   務ヲ行フニ故障アル者  前項第三号ノ妊産婦ヲ救護スベキ期間並ニ同項第四号ニ掲グル  事由ノ範囲及程度ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム 第二条 前条ノ規定ニ依リ救護ヲ受クベキ者ノ扶養義務者扶養ヲ  為スコトヲ得ルトキハ之ヲ救護セズ但シ急迫ノ事情アル場合ニ  於テハ此ノ限ニ在ラズ    第二章 救護機関 第三条 救護ハ救護ヲ受クベキ者ノ居住地ノ市町村長、其ノ居住  地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ其ノ現在地ノ市町村  長之ヲ行フ 第四条 方面委員令ニ依ル方面委員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ救護  事務ニ関シ市町村長ヲ補助ス 第五条 削除    第三章 救護施設 第六条 本法ニ於テ救護施設ト称スルハ養老院、孤児院其ノ他ノ  本法ニ依ル救護ヲ目的トスル施設ヲ言フ 第七条 市町村救護施設ヲ設置セントスルトキハ其ノ設備ニ付地  方長官ノ認可ヲ受クベシ私人救護施設ヲ設置セントスルトキハ  地方長官ノ認可ヲ受クベシ 第八条 前条第二項ノ規定ニ依リ設置シタル救護施設ハ市町村長  ガ救護ノ為行フ委託ヲ拒ムコトヲ得ズ 第九条 本法ニ定ムルモノノ外救護施設ノ設置、管理、廃止其ノ  他救護施設ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム    第四章 救護ノ種類及方法 第十条 救護ノ種類左ノ如シ  一 生活扶助  二及三 削除  四 生業扶助  前項各号ノ救護ノ範囲、程度及方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム 第十一条 救護ハ救護ヲ受クル者ノ居宅ニ於テ之ヲ行フ 第十二条 幼者居宅救護ヲ受クベキ場合ニ於テ市町村長ノ哺育上  必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ幼者ト併セ其ノ  母ノ救護ヲ為スコトヲ得 第十三条 市町村長居宅救護ヲ為スコト能ハズ又ハ之ヲ適当ナラ  ズト認ムルトキハ救護ヲ受クル者ヲ救護施設ニ収容シ若ハ収容  ヲ委託シ又ハ私人ノ家庭若ハ適当ナル施設ニ収容ヲ委託スルコ  トヲ得 第十四条 市町村長ハ救護ヲ受クル者ノ親権者又ハ後見人ガ適当  ニ其ノ権利ヲ行ハザル場合ニ於テハ其ノ異議アルトキト雖モ前  条ノ処分ヲ為スコトヲ得 第十五条 救護施設ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ施設ニ収容  セラレタル者ニ対シ適当ナル作業ヲ課スルコトヲ得 第十六条 第十三条ノ規定ニ依リ収容セラレ又ハ収容ヲ委託セラ  レタル未成年者ニ付親権者及後見人ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ  市町村長又ハ其ノ指定シタル者勅令ノ定ムル所ニ依リ後見人ノ  職務ヲ行フ 第十七条 救護ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル  所ニ依リ埋葬ヲ行フ者ニ対シ埋葬費ヲ給スルコトヲ得  前項ノ場合ニ於テ埋葬ヲ行フ者ナキトキハ救護ヲ為シタル市町  村長ニ於テ埋葬ヲ行フベシ    第五章 救護費 第十八条 救護ヲ受クル者同一市町村ニ一年以上引続キ居住スル  者ナルトキハ救護ニ要スル費用ハ其ノ居住地ノ市町村ノ負担ト  ス 第十九条 救護ヲ受クル者左ノ各号ノ一ニ該当スル者ナルトキハ  其ノ居住期間一年ニ満タザル場合ニ於テモ救護ニ要スル費用ハ  其ノ居住地ノ市町村ノ負担トス  一 夫婦ノ一方居住一年以上ナルトキ同居ノ他ノ一方  二 父母其ノ他ノ直系尊属居住一年以上ナルトキ同居ノ子其ノ   他ノ直系卑属  三 子其ノ他ノ直系卑属居住一年以上ナルトキ同居ノ父母其ノ   他ノ直系尊属 第二十条 前二条ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ勅令ノ定ムル所  ニ依ル 第二十一条 救護ニ要スル費用ガ前三条ノ規定ニ依リ市町村ノ負  担ニ属セザル場合ニ於テハ其ノ費用ハ救護ヲ受クル者ノ居住地  ノ道府県、其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ  其ノ現在地ノ道府県ノ負担トス 第二十二条 第十七条ノ規定ニ依ル埋葬ニ要スル費用ノ負担ニ関  シテハ前四条ノ規定ヲ準用ス 第二十三条 第四条ノ規定ニ依リ方面委員ガ職務ヲ行フ為必要ナ  ル費用ハ市町村ノ負担トス 第二十四条 第二十一条及第二十二条ノ規定ニ依リ道府県ノ負担  スル費用ハ救護ヲ為シタル地ノ  市町村ニ於テ一時之ヲ繰替支弁スベシ 第二十五条 国庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ対シ其ノ二  分ノ一ヲ補助ス但シ第一号及第二号ノ費用ニシテ町村ノ負担ニ  係ルモノニ対シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス  一 第十八条乃至第二十三条ノ規定ニ依リ市町村又ハ道府県ノ   負担シタル費用  二 道府県ノ設置シタル救護施設及第七条第一項ノ規定ニ依リ   市町村ノ設置シタル救護施設ノ費用  三 第七条第二項ノ規定ニ依リ私人ノ設置シタル救護施設ノ設   備ニ要スル費用  道府県ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ対シ其ノ四分ノ一ヲ  補助スベシ  一 第十八条乃至第二十条、第二十二条及第二十三条ノ規定ニ   依リ市町村ノ負担シタル費用  二 第七条第一項ノ規定ニ依リ市町村ノ設置シタル救護施設ノ   費用  三 第七条第二項ノ規定ニ依リ私人ノ設置シタル救護施設ノ設   備ニ要スル費用 第二十六条 救護ヲ受クル者資力アルニ拘ラズ救護ヲ為シタルト  キハ救護ニ要スル費用ヲ負担シタル市町村又ハ道府県ハ其ノ者  ヨリ其ノ費用ノ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得 第二十七条 救護ヲ受ケタル者救護ニ要シタル費用ノ弁償ヲ為ス  ノ資力アルニ至リタルトキハ救護ノ費用ヲ負担シタル市町村又  ハ道府県ハ救護ヲ廃止シタル日ヨリ五年以内ニ其ノ費用ノ全部  又ハ一部ノ償還ヲ命ズルコトヲ得 第二十七条ノ二 救護ヲ受クル者ニ対シ民法ニ依リ扶養ノ義務ヲ  履行スベキ者アルトキハ其ノ義務ノ範囲内ニ於テ救護ニ要スル  費用ヲ負担シタル市町村又ハ道府県ハ其ノ費用ノ全部又ハ一部  ヲ其ノ者ヨリ徴収スルコトヲ得  前項ノ規定ニ依ル費用ノ徴収ニ関シ争アルトキハ民事訴訟ニ依  ルモノトス 第二十八条 救護ヲ受クル者死亡シタルトキハ市町村長ハ命令ノ  定ムル所ニ依リ遺留ノ金銭ヲ以テ救護及埋葬ニ要スル費用ニ充  当シ仍足ラザルトキハ遺留ノ物品ヲ売却シテ之ニ充当スルコト  ヲ得    第六章 雑則 第二十九条 救護ヲ受クル者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スルトキ  ハ市町村長ハ救護ヲ為サザルコトヲ得  一 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ市町村長又ハ救護   施設ノ長ノ為シタル処分ニ従ハザルトキ  二 故ナク救護ニ関スル検診又ハ調査ヲ拒ミタルトキ  三 性行著シク不良ナルトキ又ハ著シク怠惰ナルトキ 第三十条 第七条第二項ノ規定ニ依リ設置シタル救護施設ガ本法  若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シ  タルトキハ地方長官ハ同項ノ認可ヲ取消スコトヲ得 第三十一条 道府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ左ニ掲グル土地  建物ニ対シテハ租税其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ有料  ニテ之ヲ使用セシムル者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ  一 主トシテ救護施設ノ用ニ供スル建物  二 前号ニ掲グル建物ノ敷地其ノ他主トシテ救護施設ノ用ニ供   スル土地 第三十二条 詐偽其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ救護ヲ受ケ又ハ受ケ  シメタル者ハ三月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス 第三十三条 本法中町村ニ関スル規定ハ町村制ヲ施行セザル地ニ  於テハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ  準ズベキ者ニ之ヲ適用ス    附 則  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム  左ノ法令ハ之ヲ廃止ス   明治四年太政官達第三百号   明治六年太政官布告第七十九号   明治六年太政官布告第百三十八号   明治七年太政官達第百六十二号恤救規則

・この法律は、生活保護法(昭和二一年法律第一七号)により廃止  された。                        


 「社会福祉の歴史」(1977.9.30 有斐閣)、「資料で読み解く社会福祉」(2005.3.10 有斐閣)、「帝国議会衆議院議事速記録1」(1979.3.25 財団法人東京大學出版會)、その他を参考に作成しました。
 二〇〇五・五・二九 登載
【参考資料集】(資料閲覧に関してのお願い)
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