済世顧問設置規程 済世委員設置規程 方面委員規程 方面委員第一期調査要領 方面委員令 民生委員令





    済世顧問設置規程


大正六年五月十二日 岡山県訓令第十号 
  
 済世顧問設置規程 
  
第一条 済世顧問ハ県下市町村ノ防貧事業ヲ遂行シ個人並ニ社会
    ヲ向上セシムルコトヲ以テ目的トス 
第二条 済世顧問ノ防貧方法ハ精神上ノ感化、物質上ノ斡旋等ニ
    依リ現在及将来ニ於ケル貧困ノ原因ヲ消滅セシムルモノ
    トス 
第三条 済世顧問ノ員数ハ市ニ在リテハ十五名町村ニ在リテハ一
    名トス但シ区域ノ広狭ト事情トニ因リ其ノ員数ヲ増加ス
    ルコトアルヘシ 
第四条 済世顧問ハ知事之ヲ嘱託ス 
第五条 済世顧問ニ推薦セラルヘキ者ハ左ノ資格ヲ具備スルモノ
    ナルコトヲ要ス 
 一、人格正シキモノ 
 二、身体健全ナルモノ 
 三、常識ニ富メルモノ 
 四、慈善同情心ニ富メルモノ 
 五、市町村内中等以上ノ生活ヲ営ミ少クトモ俸給ヲ以テ衣食ノ
   資ニ供セサルモノ  
 六、忠実勤勉其ノ職務ニ尽スヘキモノ 
第六条 済世顧問ハ其ノ職務ヲ執行スルニ当リ相互間ノ連絡ヲ保
    チ必要アルトキハ関係官公署ノ助力ヲ要求スルコトヲ得
第七条 済世顧問ハ名誉ノ職トナシ之ヲ優遇ス 

「済世叢書第二篇 ―済世顧問制度詳解―」        (岡山県学務部社会課 昭和五年三月二十八日発行)

※ なお、別の資料の「戦前期社会事業基本文献集24」では、 第四条 済世顧問ハ郡市長ノ推薦ニ依リ知事之ヲ嘱託ス     郡市長前項ノ推薦ヲ為サントスルトキハ第五条ノ資格ヲ     有スル者ノ内ヨリ関係警察署長及町村長ト協議銓衡スル     モノトス となっています。     済世委員設置規程 大正十年十月十四日 岡山県告示第五百八十九号  済世委員設置規程    第一条 市町村ニ其ノ社会状態ヲ調査シ適切ナル事業ヲ遂行スル  為メ済世委員ヲ置ク 第二条 済世委員ノ員数ハ市ニ在リテハ方面毎ニ十名乃至二十名  町村ニ在リテハ大字毎ニ一名トス   但シ区域ノ広狭ト事情トニ因リ其ノ員数ハ増減スルコトアル  ヘシ 第三条 済世委員ハ其ノ職務ヲ執行スルニ当リ其ノ市町村ニ於ケ  ル済世顧問ト協議シ且相互間ノ連絡ヲ保チ必要アルトキハ関係  官公署ノ助力ヲ要求スルコトヲ得 第四条 済世委員ノ嘱託及其ノ資格ニ関シテハ済世顧問設置規程  ノ定ムル所ニ準拠ス 第五条 済世委員ハ名誉ノ職トシ之ヲ優遇ス 第六条 済世顧問未設置ノ方面並町村ニ在リテハ其ノ委員ノ互選  ニ依リ常務委員ヲ置キ本規程ノ施行ニ関シテハ之ヲ済世顧問ト  看做ス 

「済世叢書第二篇 ―済世顧問制度詳解―」        (岡山県学務部社会課 昭和五年三月二十八日発行)

    方面委員規程 大正七年十月七日 大阪府令二百五十五号    方面委員規程   第一条 方面委員の区域は市町村小学校通学区域に拠る。    但し土地の状況により区域を分合するを妨げず。 第二条 方面委員は関係市町村吏員、警察官吏、学校関係者、有   志者及び救済事業関係者中より知事之を嘱託す。    方面委員は名誉職とす。 第三条 方面委員には常務委員一名を置く。常務委員は委員中の   推薦により知事之を嘱託す。 第四条 学校其の他適当の場所に事務所を設け専属書記を置く。    書記は常務委員之を選任す。 第五条 方面委員は関係区域内の状況を詳にし大凡左の調査及実   行に従事するものとす。  一、関係区域内の一般生活状態を調査し之が改善向上の方法を   攷究すること。  二、要救護者各個の状況を調査して之に対する救済方法の適否   を攷究し其徹底に努むること。  三、現存救済機関の適否を調査し其区域に新設を要すべき救済   機関を攷究すること。 第六条 方面委員の調査攷究に依る事業の実施は主として郡市町   村公益法人及有志の施設に俟つものとす。 第七条 各方面に於ける事務の連絡統一を図る為め各方面常務委   員連合会を設く。    連合会は各方面常務委員を以て組織し知事に於て必要と認   むる場合随時之を開会す。 第八条 府市に幹事を置く。    幹事は府市区の救済課係員及警察署員中より知事之を選定   す。 第九条 委員及従事員は所定の章を帯用す。 第十条 書記は有給とし事務所雑費は必要に応じ之を支弁す。     方面委員第一期調査要領 大正七年十月七日 方面委員第一期調査要領  第一期調査として先づ諸般計画の基本たる区域内住民の生活状 態の基本調査に着手する傍ら、此調査中に発見したる無籍者等の 戸籍の整理、病者の救療及び幼児保育に助力す。 第一 生活状態を調査すること。  一、第一種第二種に区別し各項に台帳カードに記入す。  一、第一種は独身にして自活の途を得ざるもの、独身にあらざ   るも其扶助者なく自活の途を得ざるもの及び疾病其他の事故   に依り自活困難なる貧困者とす。  一、第二種は大凡家賃七円収入二十五円位迄を標準とし家族の   員数、職業の安否、生活の状態等を斟酌し家計余裕なき者と   す。  一、一方面の調査は之を取纏め統計表カードに記入す。 第二 戸籍の整理に付助力を為すこと。  一、内縁妻を戸籍上の正妻とすること。  一、私生児を父母の戸籍の整理により嫡子となし又は父の認知   により庶子と為すこと。  一、無籍者を就籍せしむること。  一、右戸籍の整理により従来受くるを得ざりし軍事救護其他の   利益を妻子に及ぼすこと。  一、戸籍を整理したるものは台帳カード備考中に其事を記載   す。  一、家内の内事に立入るものなれば十分の理解と同情を以て懇   切に相談相手と為り手続を進むにあらざれば目的を達し難く   此辺十分の考慮を要す。 第三 救療を徹底せしむること  一、済生会診療所券を委託し、各家庭に付必要あるものに交付   す。  一、市医師会診療券歯科医師会実費診療券を前同様の方法によ   り交付す。  一、診療券を交付せしものは台帳カード備考欄に其事を記入   す。  一、診療券は従来縁故事情により必要以外の箇所に濫用せられ   たるものなしとせず此点に付注意を要す。 第四 幼児昼間保育所の利用其他幼児教育に関すること。  一、保護者なき為め幼児の教養保護十分ならざるもの及び幼児   の為め父母の働きを妨げ家計困難なる者の為めに最寄昼間保   育所に幼児を委託するの途を教え其手続に付必要に依り助力   す。  一、漫に幼児保育の煩を避くる為め委託するが如きは却って種   々の弊害を伴ふものなれば此辺周到なる調査を要す。  一、貰子、里子等の教養に就て特別の注意を要す。 第五 其他必要と認むる事項に付調査助力を為すこと。     方面委員令 朕方面委員令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム  御名 御璽    昭和十一年十一月十三日                  内閣総理大臣 廣田 弘毅                  内 務 大 臣  潮 惠之輔 勅令第三百九十八号(官報 十一月十四日)    方面委員令 第一条 方面委員ハ隣保相扶ノ醇風ニ則リ互助共済ノ精神ヲ以テ  保護指導ノコトニ従フモノトス 第二条 方面委員ハ方面毎ニ道府県之ヲ設置スベシ 第三条 方面ハ北海道庁長官又ハ府県知事関係市町村長ノ意見ヲ  徴シ之ヲ定ム  前項ノ規定ニ依リ方面ヲ定ムル場合ニ於テハ市ニ在リテハ其ノ  区域ヲ数方面ニ分チ町村ニ在リテハ其ノ区域ヲ以テ一方面トス  但シ地方ノ状況ニ因リ特別ノ事由アル場合ニ於テハ比ノ限ニ在  ラズ 第四条 方面委員ノ定数ハ北海道庁長官又ハ府県知事関係市町村  長ノ意見ヲ徴シ方面毎ニ之ヲ定ム 第五条 方面委員ハ北海道庁長官又ハ府県知事方面委員銓衡委員  会ノ意見ヲ徴シ之ヲ選任ス  方面委員銓衡委員会ハ道府県之ヲ設置スベシ  方面委員銓衡委員会ノ組織ハ内務大臣之ヲ定ム 第六条 方面委員ノ職務左ノ如シ  一 担任区域内ニ於ケル居住者ノ生活状態ノヲ調査スルコト  二 担任区域内ニ於ケル扶掖ヲ要スル者ノ生活状態ヲ審ニシ其   ノ救護ニ遺漏ナカラシメ又ハ其ノ自立向上ヲ図ル為必要ナル   指導ヲ為スコト   三 社会施設トノ連絡ヲ密ニシ其ノ機能ヲ援クルコト  方面委員ハ其ノ職務ニ関シ関係市町村長ト連絡ヲ保ツベシ 第七条 方面委員ハ名誉職トス 第八条 方面委員ノ任期ハ四年トス但シ特別ノ事由アルトキハ任  期中ト雖モ北海道庁長官又ハ府県知事之ヲ解任スルコトヲ妨ゲ  ズ 第九条 方面委員ハ方面毎ニ方面委員会ヲ組織スベシ  北海道庁長官又ハ府県知事必要アリト認ムルトキハ関係市町村  長其ノ他適当ナル者ヲシテ方面委員会ノ組織ニ加ハラシムルコ  トヲ得  方面委員会ハ各方面委員ノ担任区域ヲ定メ及其ノ職務ノ連絡ヲ  図ル関係市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ハ方面委員会ニ出  席シ且意見ヲ述ブルコトヲ得 第十条 道府県ハ方面事業委員会ヲ設置スベシ  方面事業委員会ハ北海道庁長官又ハ府県知事ノ諮問ニ応ジ方面  事業ノ連絡統制其ノ他方面事業ニ関スル事項ヲ調査審議ス  方面事業委員会ノ組織ハ内務大臣之ヲ定ム 第十一条 方面委員、方面委員銓衡委員会、方面委員会及方面事  業委員会ニ関スル費用ハ道府県ノ負担トス 第十二条 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本令中町村ニ関スル規  定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村ニ準ズ  ベキモノニ之ヲ適用ス    附 則 本令ハ昭和十二年一月十五日ヨリ之ヲ施行ス 当分ノ内内務大臣ノ指定スル市ニ於テハ本令中府県ニ関スル規定 ハ市ニ、府県知事ニ関スル規定ハ市長ニ之ヲ適用ス      民生委員令 朕は、民生委員令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。  御名 御璽    昭和二十一年九月十二日                  内閣総理大臣 吉田  茂                  厚 生 大 臣  河合 良成 勅令第四百二十六号(官報九月十三日)    民生委員令 第一条 民生委員は、社会の福祉を増進するために、仁愛の精神  を以て、保護誘掖のことに従ふ。 第二条 民生委員は、市(東京都の区のある区域においてはその  区域とする。以下同じ。)町村の区域にこれを置く。 第三条 民生委員の定数は、地方長官が、関係市町村長(東京都  の区のある区域においては区長とする。)の意見を徴して、市  町村の区域毎にこれを定める。 第四条 民生委員は、地方長官の推薦によって、厚生大臣がこれ  を委嘱する。   前項の地方長官の推薦は、市町村の設置する民生委員推薦委  員会が推薦した者について、都道府県の設置する民生委員銓衡  委員会の意見を徴してこれを行ふ。   前項の民生委員推薦委員会及び民生委員銓衡委員会の組織  は、厚生大臣がこれを定める。 第五条 民生委員は名誉職とし、その任期は二年とする。但し、  特別の事由があるときは、任期中であっても、これを解任する  ことができる。 第六条 民生委員は、その市町村の区域において、担当の区域又  は事項を分って、その職務を行ふものとする。 第七条 民生委員の職務は、左の通りである。  一 生活状態を調査すること  二 保護を要する者を適切に保護誘掖すること。  三 社会施設と密接に連絡し、その機能を扶けること。   民生委員は、前項の職務を行ふ外、必要に応じて、生活の指  導を行ふ。 第八条 民生委員は、その職務に関して、地方長官の指揮監督を  承ける。 第九条 民生委員は、地方長官が関係市町村長(東京都の区のあ  る区域においては区長とする。)の意見を徴して定める区域毎  に、民生委員会を組織しなければならない。   前項の規定による民生委員会を組織する区域を定める場合に  おいては、特別の事情があるときの外、市においてはその区域  を数区域に分かつ区域を以て、町村においてはその区域を以て  一区域としなければならない。 第十条 地方長官は、必要があると認めたときは、関係市町村長  (東京都の区のある区域、京都市、大阪市、横浜市、神戸市及  び名古屋市においては区長とする。以下同じ。)その他適当な  者を、民生委員会の組織に加はらしめることができる。   関係市町村長又はその委任を受けた者は、民生委員会に出席  し、意見を述べることができる。 第十一条 民生委員会の任務は、左の通りである。  一 民生委員が担当する区域又は事項を定めること。  二 民生委員の職務に関する連絡及び統制をなすこと。  三 必要な資料又は情報を集めること。  四 民生委員をして、その職務に関して互に励まし、研究及び   修養をなさせること。  五 その他民生委員が職務を遂行するに必要な事項を処理する   こと。   民生委員会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見  を、関係各庁に具申することができる。 第十二条 関係市町村長は、民生委員に対して、その職務に関し  て必要な指示をなすことができる。 第十三条 民生委員、民生委員推薦委員会、民生委員銓衡委員会  及び民生委員会に関する費用は、都道府県の負担とする。 第十四条 この勅令中町村に関する規定は、町村制を施行しない  地においては町村に準ずるものに、町村長に関する規定は、町  村長に準ずるものにこれを適用する。    附 則  この勅令は、生活保護法施行の日から、これを施行する。  方面委員令は、これを廃止する。  この勅令施行の際、現に方面委員の職にある者は、民生委員を 委嘱されたものとする。但し、その任期は、この勅令施行の日か ら二箇月とする。  前項の場合においても、第五条但書の規定の適用を妨げない。  少年教護法施行令の一部を次のやうに改正する。  第九条第一項及び第二項を次のやうに改める。   少年教護委員ハ民生委員令ニ依ル民生委員ヲ以テ之ニ充ツ   前項ノ規定ニ依ル者ノ外地方長官必要アリト認ムルトキハ別  ニ少年教護委員ヲ選任スルコトヲ得   少年教護委員ハ名誉職トス   第二項ノ規定ニ依リ選任セラレタル少年教護委員ノ任期ハ二  年トス   但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ之ヲ解任スルコトヲ  妨ゲズ

二〇〇六・七・八 登載
【参考資料集】(資料閲覧に関してのお願い)

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