ハンセン氏病予防法 立法院の議決したハンセン氏病予防法に署名し、ここに交付する。 1961年8月26日 行政主席 大田政作 立法第119号 第1章 総 則 (この立法の目的) 第1条 この立法は、ハンセン病を予防するとともに、ハンセン氏病患者の医療を行ない、あわせてその福祉を図り、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする。 第2条 政府は、つねに、ハンセン氏病の予防及びハンセン氏病患者(以下「患者」という。)の医療につとめ、患者の福祉と更生を図るとともに、ハンセン氏病に関する正しい知識の普及を図らなければならない。 (差別的取扱いの禁止) 第3条 何人も、患者または患者と親族関係にある者に対して、そのゆえをもって不当な差別的取扱いをしてはならない。 第2章 予 防 (医師の届出等) 第4条 医師は、診察の結果受診者が患者(患者の疑のある者を含む。この条において以下同じ。)であると診断し、または死亡診断若しくは死体の検案をした場合において、死亡者が患者であったことを知ったときは、規則の定めるところにより、患者、その保護者(親権を行なう者または後見人をいう。以下同じ。)若しくは患者と同居している者または死体のある場所若しくはあった場所を管理する者若しくはその代理をする者に、消毒その他の予防方法を指示し、かつ、7日以内に規則で定める事項を、行政主席に届け出なければならない。 2 医師は、患者が治癒し、または死亡したと診断したときは、すみやかに、その旨を行政主席に届け出なければならない。 (指定医の診察) 第5条 行政主席は、必要があると認めるときは、その指定する医師をして、患者または患者と疑うに足りる相当な理由がある者を診察させることができる。 2 前項の医師の指定は、ハンセン氏病診断に関し、2年以上の経験を有する者のうちから、その同意を得て行なうものとする。 3 第1項の医師は、同項の職務の執行に関しては、法令により公務に従事する職員とみなす。 (政府立療養所または政府立の指定病院への入所又は入院) 第6条 行政主席は、ハンセン氏病を伝染させるおそれがある患者について、ハンセン氏病予防上必要があると認めるときは、当該患者またはその保護者に対し、政府の設置するハンセン氏病療養所(以下「政府立療養所」という。)または行政主席が指定する政府立の病院(以下「指定病院」という。)に入所若しくは入院し、または入所若しくは入院させるように奨励することができる。 2 行政主席は、前項の奨励を受けた者がその奨励に応じないときは、患者またはその保護者に対し、期限を定めて、政府立療養所または指定病院に入所若しくは入院し、または入所若しくは入院させることを命ずることができる。 3 行政主席は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないときは、その患者を政府立療養所または指定病院に入所または入院させることができる。 4 第1項の奨励は、前条に指定する医師が当該患者を診察した結果、その者がハンセン氏病を伝染させるおそれがあると診断した場合でなければ、行なうことができない。 (退所または退院) 第7条 行政主席は、ハンセン氏病を伝染させるおそれがなくなった患者(以下「軽快者」という。)に対し、政府立療養所または指定病院から退院することを命ずることができる。 2 政府立療養所の長(以下「所長」という。)または指定病院の長(以下「院長」という。)は、退所または退院に際し、前項の軽快者に対して規則で定める証明書を交付しなければならない。 3 第1項の軽快者は、規則の定めるところにより、所長または院長の定期診査を受けなければならない。 (在宅予防処置) 第8条 行政主席は、ハンセン氏病を伝染させるおそれがない患者に対し、予防上必要があると認めるときは、在宅のまま必要な措置を講ずることができる。 2 前項の措置について必要な事項は、規則で定める。 (従業禁止) 第9条 行政主席は、ハンセン氏病を伝染させるおそれがある患者に対して、その者が政府立療養所または指定病院に入所または入院するまでの間、接客業その他公衆にハンセン氏病を伝染させるおそれがある業務であって、規則で定めるものに従事することを禁止することができる。 2 第6条第4項の規定は、前項の従業禁止の処分について準用する。 (公衆と接触の多い場所への出入りの禁止) 第10条 ハンセン氏病を伝染させるおそれがあると認められた患者は、入所または入院するまでの間、公衆と接触の多い場所で規則の定める所へ出入りしてはならない。 (汚染場所の消毒) 第11条 行政主席は、ハンセン氏病を伝染させるおそれがある患者またはその死体があった場所を管理する者またはその代理をする者に対して、消毒材料を交付してその場所を消毒すべきことを命ずることができる。 2 行政主席は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその場所を消毒させることができる。 (物件の消毒廃棄等) 第12条> 行政主席は、ハンセン氏病予防上必要があると認めるときは、ハンセン氏病を伝染させるおそれがある患者が使用し、または接触した物件について、その所持者に対し、授与を制限し、若しくは禁止し、消毒材料を交付して消毒を命じ、または消毒によりがたい場合に廃棄を命ずることができる。 2 行政主席は、前項の消毒または廃棄の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその物件を消毒し、または廃棄させることができる。 3 政府は前2項の規定による廃棄によって通常生ずべき損失を補償しなければならない。 4 前項の規定による補償を受けようとする者は、規則の定める手続きに従い、行政主席に、これを請求しなければならない。 5 行政主席は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。 6 前項の決定に不服がある者は、その通知を受け取った日から60日以内に、裁判所に訴をもってその金額の増額を請求することができる。 (質問及び調査) 第13条 行政主席は、前2条の規定を実施するため必要があるときは、当該職員をして、患者若しくはその死体がある場所若しくはあった場所または患者が使用し、若しくは接触した物がある場所に立ち入り、患者その他関係者に質問させ、または必要な調査をさせることができる。 2 前項の職員はその身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。 3 第1項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 第3章 政府立療養所及び指定病院 (政府立療養所及び指定病院) 第14条 政府は、ハンセン氏病療養所を設置し、かつ、必要に応じて政府立病院を指定し、患者に対して、必要な療養を行なう。 第15条 政府は、政府立療養所に入所している患者(以下「入所患者」という。)の教養を高め、その福利を増進するようにつとめるものとする。 第16条 政府は、必要があると認めるときは、入所患者に対して、その社会的更生に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずるものとする。 第17条 所長は、学校教育法(1958年立法第3号)第77条第2項の規定により、小学校または中学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行なう場合には、規則の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講じなければならない。 2 所長は、学校教育法第77条第2項の規定により、高等学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、規則の定めるところにより、入所者がその教育を受けるために必要な措置を講ずることができる。 (外出の許可等) 第18条 入所患者、または指定病院に入院している患者(以下「入院患者」という。)は、次に各号に掲げる場合を除いては、政府立療養所、または指定病院の限定された場所から外出してはならない。 一 親族の危篤、死亡、り災その他特別の事情がある場合であって所長または院長が、ハンセン氏病予防上重大な支障を来すおそれがないと認めて許可したとき。 二 法令により政府立療養所外または指定病院の限定された場所に出頭を要する場合であって、所長または院長が、ハンセン氏病予防上重大な支障を来すおそれがないと認めたとき。 2 所長または院長は、前項第一号の許可をする場合には、外出の期間を定めなければならない。 3 所長または院長は、第1項各号に掲げる場合には、入所患者または入院患者の外出につき、ハンセン氏病予防上必要な措置を講じ、かつ、当該患者から求められたときは、規則で定める証明書を交付しなければならない。 (秩序の維持) 第19条 入所患者または入院患者は、療養に専念し、所内又は院内の規律に従わなければならない。 2 所長又は院長は、入所患者又は入院患者が規律に違反した場合において、所内又は院内の秩序を維持するために必要があると認めるときは、当該患者に対して、次の各号に掲げる処分を行うことができる。 一 戒告を与えること。 二 30日を越えない期間を定めて、謹慎させること。 3 前項二号の処分を受けたものは、その処分の期間中、所長又は院長が指定した室で静居しなければならない。 4 第2項第二号の処分は、同項第一号の処分によっては、効果がないと認められる場合に限って行うものとする。 5 所長または院長は、第2項第二号の処分を行う場合には、あらかじめ、当該患者に対して、弁明の機会を与えなけれならない。 (親権の行使等) 第20条 所長または院長は、未成年の入所患者または入所患者で親権を行なう者または後見人のない者に対し、親権を行う者または後見人があるに至るまでの間、親権を行なう。 2 所長または院長は、未成年の入所患者または入院患者で親権を行なう者または後見人のある者ついても、監護、教育その他の福祉のために必要な措置をとることができる。 (物件の移動の制限) 第21条 入所患者または入院患者が、政府立療養所又は指定病院の定められた区域内において使用し、または接触した物件は、消毒を経た後でなければ、当該政府立療養所外または指定病院の定められた区域外に出してはならない。 第4章 福祉 (一時保護) 第22条 行政主席は、居住地を有しない患者その他救護を必要とする患者(以下「被救護患者」という。)及びその同伴者に対して、当該患者が政府立療養所または指定病院に入所または入院するまでの間、必要な救護を行わなければならない。 (一時救護所) 第23条 政府は、前条の措置をとるため必要があると認めるときは、一時救護所を設置しなければならない。 (親族の援護) 第24条 行政主席は、入所患者、入院患者及び被救護患者をして安んじて療養に専念させるため、その親族(婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)のうち、当該患者が入所若しくは入院または救護を受けなかったならば、主としてその者の収入によって生計を維持し、またはその者と生計をともにしていると認められる者で、生計困難のため、救護を要する状態にあると認めるときは、これらの者に対し、この法律の定めるところにより、援護を行うことができる。ただし、これらの者が他の立法(生活保護法(1953年立法第55号)を除く。)に定める扶助を受けることができる場合においては、その受けることができる扶助の限度においては、その立法の定めるところによる。 2 援護は、金銭を給付することによって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他援護の目的を達するために必要があるときは、現物を給付することによって行なうことができる。 3 援護のための金品は、援護を受ける者またはその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。 4 援護の種類、範囲、程度その他救護に関し必要な事項は、規則で定める。 (児童の福祉) 第25条 政府は、入所患者、入院患者、被救護患者または第8条による措置を受ける患者が扶養しなければならない児童で、ハンセン氏病にかかっていないものに対して、必要があると認めるときは、児童福祉法(1953年立法第61号)第40条及び第44条に規定する施設において養育、養護その他の福祉の措置を講ずることができる。 2 第20条第一項の規定は、前項の施設に入所または入院中の児童について準用する。 第5章 費用 (政府の負担) 第26条 政府は、この立法の施行に必要な費用を次条の場合を除いて負担しなければならない。 (費用の徴収) 第27条 行政主席は、第24条の規定による援護を行った場合において、その援護を受けたものに対して、民法(明治29年法律第89号)の規定により扶養の義務を履行しなければならない者(入所患者、入院患者及び被救護患者を除く。)があるときは、その義務の範囲内において、その者からのその援護の実施に要した費用の全部または一部を徴収することができる。 2 生活保護法第68条の3第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。 第六章 雑則 (請願) 第28条 この立法またはこの法律に基づく規則の規定により所長若しくは院長または行政主席がした処分(第12条第5項の規定による補償金額の決定処分を除く。)に不服がある者は、行政主席に訴願することができる。 2 行政主席は、前項の訴願がハンセン氏病を伝染させるおそれがある患者であるとの診断に基づく処分に対してその診断を受けた者が提起したものであって、かつ、その不服の理由が、その診断の結果を争うものであるときは、その訴願の採決前、第5条第2項の規定に準じて行政主席が指定する2人以上の医師をして、その患者を診察させなければならない。この場合において、訴願人は、自己の指定する医師を、自己の費用により、その診察に立ち会わせることができる。 3 第5条第3項の規定は、前項の医師について準用する。 (差押さえの禁止) 第29条 第24条の規定による援護として支給される金品は、既に支給を受けたものであるとないにかかわらず、差し押さえることができない。 (罰則) 第30条 医師、公衆衛生看護婦またはこれらの職にあった者が、正当な理由がなく、その業務上知得した次の各号に掲げる他人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役または85ドル以下の罰金に処する。 一 患者若しくはその親族であること、またはあったこと。 二 患者であった者の親族であること、またはあったこと。 2 前項各号に掲げる他人の秘密を業務上知得した者が、正当な理由がなく、その秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役または30ドル以下の罰金に処する。 第31条 次に各号の一に該当する者は、30ドル以下の罰金に処する。 一 第4条第1項の規定による届け出を怠った者。 二 第5条第1項の規定による医師の診断を拒み、妨げ、または忌避した者。 三 第12条第1項の既定による物件の授与の制限または禁止の処分に従わなかった者。 四 第11条第2項または第12条第2項の規定による当該職員の職務の執行を拒み、妨げ、または忌避した者。 五 第13条第1項の規定による当該職員の調査を拒み、妨げ、または忌避した者。 六 第13条第1項の規定による当該職員の質問に対して虚偽の答弁をした者。 七 第21条の規定に違反した者。 第32条 次の各号の一に違反した者は、拘留または科料に処する。 一 第18条第1項の指定に違反して政府立療養所、または指定病院の限定された場所から外出した者。 二 第18条第1項の規定により政府立療養所、又は指定病院の限定された場所から外出して、正当な理由がなく、許可の期間内に帰所または帰院しなかった者。 三 第18条第1項第二号の規定による政府立療養所、またはは指定病院の限定された場所から外出して、正当な理由がなく、通常帰所または帰院すべき時間内に帰所または帰院しなかった者。 附則 1 この立法は、公布の日から施行する。 2 らい予防法(明治40年法律第11号。以下「旧法」とする。)は廃止する。 3 この立法の施行前にハンセン氏病患者の転帰を診断し、若しくはハンセン氏病患者の死体を検案した医師またはハンセン氏病にかかっている患者を診断した医師のなすべき届出については、なお従前の例による。 4 この立法の施行の際、現に旧法第2条の二の規定により職業に従事することを禁止されている者は、第9条第1項の規定により業務に従事することを禁止されている者とみなす。 5 旧法第9条第1項の規定により行われた検診は、第5条の規定により行われた診察とみなす。 6 この立法の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。 7 所得税法(1952年法律44号)の一部を次のように改正する。 第6条に次の一号を加える。 一五 ハンセン氏病予防法(1961年立法第119号)第24条の規定により援護として支給される金品。 8 市町村税法(1954年立法第64号)の一部を次のように改正する。 第163条に次に一号を加える。 四 ハンセン氏病予防法(1961年立法第119号)第24条の規定により援護として支給される金品。 《「国立療養所沖縄愛楽園 開園35周年記念誌」(昭和48年11月10日発行)、 |
らい予防法(昭和二十八年八月十五日法律第二百十四号) 改正 昭和二九年 四月二七日法律第 七七号 同 三七年 五月一六日同 第一四〇号 同 三七年 九月一五日同 第一六一号 平成 五年一一月一二日同 第 八九号 廃止 同 八年 三月三一日同 第 二八号 (らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号)附則第二条及び第三条の規定によりなお従前の例によるとされる。) らい予防法をここに公布する。 御名御璽 昭和二十八年八月十五日 内閣総理大臣 吉田茂 法律第二百十四号 らい予防法 目次 第一章 総則(第一条―第三条) 第二章 予防(第四条―第十条) 第三章 国立療養所(第十一条―第十八条) 第四章 福祉(第十九条―第二十二条) 第五章 費用(第二十三条・第二十四条) 第六章 雑則(第二十五条―第二十八条) 附則 第一章 総則 (この法律の目的) 第一条 この法律は、らいを予防するとともに、らい患者の医療を行い、あわせてその福祉を図り、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。 (国及び地方公共団体の義務) 第二条 国及び地方公共団体は、つねに、らいの予防及びらい患者(以下「患者」という。)の医療につとめ、患者の福祉を図るとともに、らいに関する正しい知識の普及を図らなければならない。 (差別的取扱の禁止) 第三条 何人も、患者又は患者と親族関係にある者に対して、そのゆえをもつて不当な差別的取扱をしてはならない。 第二章 予防 (医師の届出等) 第四条 医師は、診察の結果受診者が患者(患者の疑のある者を含む。この条において以下同じ。)であると診断し、又は死亡の診断若しくは死体の検案をした場合において、死亡者が患者であつたことを知つたときは、厚生省令の定めるところにより、患者、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)若しくは患者と同居している者又は死体のある場所若しくはあつた場所を管理する者若しくはその代理をする者に、消毒その他の予防方法を指示し、且つ、七日以内に、厚生省令で定める事項を、患者の居住地(居住地がないか、又は明らかでないときは、現在地。以下同じ。)又は死体のある場所の都道府県知事に届け出なければならない。 2 医師は、患者が治ゆし、又は死亡したと診断したときは、すみやかに、その旨をその者の居住地の都道府県知事に届け出なければならない。 (指定医の診察) 第五条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、その指定する医師をして、患者又は患者と疑うに足りる相当な理由がある者を診察させることができる。 2 前項の医師の指定は、らいの診療に関し、三年以上の経験を有する者のうちから、その同意を得て行うものとする。 3 第一項の医師は、同項の職務の執行に関しては、法令により公務に従事する職員とみなす。 (国立療養所への入所) 第六条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者について、らい予防上必要があると認めるときは、当該患者又はその保護者に対し、国が設置するらい療養所(以下「国立療養所」という。)に入所し、又は入所させるように勧奨することができる。 2 都道府県知事は、前項の勧奨を受けた者がその勧奨に応じないときは、患者又はその保護者に対し、期限を定めて、国立療養所に入所し、又は入所させることを命ずることができる。 3 都道府県知事は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないとき、又は公衆衛生上らい療養所に入所させることが必要であると認める患者について、前二項の手続をとるいとまがないときは、その患者を国立療養所に入所させることができる。 4 第一項の勧奨は、前条に規定する医師が当該患者を診察した結果、その者がらいを伝染させるおそれがあると診断した場合でなければ、行うことができない。 (従業禁止) 第七条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者に対して、その者がらい療養所に入所するまでの間、接客業その他公衆にらいを伝染させるおそれがある業務であつて、厚生省令で定めるものに従事することを禁止することができる。 2 前条第四項の規定は、前項の従業禁止の処分について準用する。 (汚染場所の消毒) 第八条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者又はその死体があつた場所を管理する者又はその代理をする者に対して、消毒材料を交付してその場所を消毒すべきことを命ずることができる。 2 都道府県知事は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその場所を消毒させることができる。 (物件の消毒廃棄等) 第九条 都道府県知事は、らい予防上必要があると認めるときは、らいを伝染させるおそれがある患者が使用し、又は接触した物件について、その所持者に対し、授与を制限し、若しくは禁止し、消毒材料を交付して消毒を命じ、又は消毒によりがたい場合に廃棄を命ずることができる。 2 都道府県知事は、前項の消毒又は廃棄の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその物件を消毒し、又は廃棄させることができる。 3 都道府県は、前二項の規定による廃棄によつて通常生ずべき損失を補償しなければならない。 4 前項の規定による補償を受けようとする者は、厚生省令の定める手続に従い、都道府県知事に、これを請求しなければならない。 5 都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。 6 前項の決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六十日以内に、裁判所に訴をもつてその金額の増額を請求することができる。 7 前項の訴えにおいては、都道府県を被告とする。…(昭三七法一四〇・一部改正) (質問及び調査) 第十条 都道府県知事は、前二条の規定を実施するため必要があるときは、当該職員をして、患者若しくはその死体がある場所若しくはあつた場所又は患者が使用し、若しくは接触した物がある場所に立ち入り、患者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。 2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。 3 第一項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 第三章 国立療養所 (国立療養所) 第十一条 国は、らい療養所を設置し、患者に対して、必要な療養を行う。 (福利増進) 第十二条 国は、国立療養所に入所している患者(以下「入所患者」という。)の教養を高め、その福利を増進するようにつとめるものとする。 (更生指導) 第十三条 国は、必要があると認めるときは、入所患者に対して、その社会的更生に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。 (入所患者の教育) 第十四条 国立療養所の長(以下「所長」という。)は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第七十五条第二項の規定により、小学校又は中学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講じなければならない。 2 所長は、学校教育法第七十五条第二項の規定により、高等学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講ずることができる。 (外出の制限) 第十五条 入所患者は、左の各号に掲げる場合を除いては、国立療養所から外出してはならない。 一 親族の危篤、死亡、り災その他特別の事情がある場合であつて、所長が、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めて許可したとき。 二 法令により国立療養所外に出頭を要する場合であつて、所長が、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めたとき。 2 所長は、前項第一号の許可をする場合には、外出の期間を定めなければならない。 3 所長は、第一項各号に掲げる場合には、入所患者の外出につき、らい予防上必要な措置を講じ、且つ、当該患者から求められたときは、厚生省令で定める証明書を交付しなければならない。 (秩序の維持) 第十六条 入所患者は、療養に専念し、所内の紀律に従わなければならない。 2 所長は、入所患者が紀律に違反した場合において、所内の秩序を維持するために必要があると認めるときは、当該患者に対して、左の各号に掲げる処分を行うことができる。 一 戒告を与えること。 二 三十日をこえない期間を定めて、謹慎させること。 3 前項第二号の処分を受けた者は、その処分の期間中、所長が指定した室で静居しなければならない。 4 第二項第二号の処分は、同項第一号の処分によつては、効果がないと認められる場合に限つて行うものとする。 (平五法八九・一部改正)【5 所長は、第二項第二号の処分を行う場合には、あらかじめ、当該患者に対して、弁明の機会を与えなければならない。】 (親権の行使等) 第十七条 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のないものに対し、親権を行う者又は後見人があるに至るまでの間、親権を行う。 2 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のあるものについても、監護、教育等その者の福祉のために必要な措置をとることができる。 (物件の移動の制限) 第十八条 入所患者が国立療養所の区域内において使用し、又は接触した物件は、消毒を経た後でなければ、当該国立療養所の区域外に出してはならない。 第四章 福祉 (一時救護) 第十九条 都道府県知事は、居住地を有しない患者その他救護を必要とする患者及びその同伴者に対して、当該患者が国立療養所に入所するまでの間、必要な救護を行わなければならない。 (一時救護所) 第二十条 都道府県は、前条の措置をとるため必要があると認めるときは、一時救護所を設置することができる。 (親族の援護) 第二十一条 都道府県知事は、入所患者をして安んじて療養に専念させるため、その親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)のうち、当該患者が入所しなかつたならば、主としてその者の収入によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていると認められる者で、当該都道府県の区域内に居住地(居住地がないか、又は明らかでないときは、現在地)を有するものが、生計困難のため、援護を要する状態にあると認めるときは、これらの者に対し、この法律の定めるところにより、援護を行うことができる。但し、これらの者が他の法律(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)を除く。)に定める扶助を受けることができる場合においては、その受けることができる扶助の限度においては、その法律の定めるところによる。 2 援護は、金銭を給付することによつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他援護の目的を達するために必要があるときは、現物を給付することによつて行うことができる。 3 援護のための金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。 4 援護の種類、範囲、程度その他援護に関し必要な事項は、政令で定める。 (昭二九法七七・全改)【(親族の福祉)第二十一条 所長は、必要があると認めるときは、当該国立療養所の職員をして入所者が扶養しなければならない親族を訪問させる等の方法により、当該親族が生活保護法(昭和二十五年法律第百四十号)による保護その他の福祉の措置を受けるために必要な援助を与えることができる。】 (児童の福祉) 第二十二条 国は、入所患者が扶養しなければならない児童で、らいにかかつていないものに対して、必要があると認めるときは、国立療養所に附置する施設において養育、養護その他の福祉の措置を講ずることができる。 2 第十七条第一項の規定は、前項の施設に入所中の児童について準用する。 第五章 費用 (都道府県の支弁) 第二十三条 都道府県は、左の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。 一 第五条第一項の規定による診察に要する費用 二 第六条の規定による措置に要する費用並びに同条第一項又は第二項の規定による勧奨又は命令による患者の入所に要する費用及びその入所に当り当該都道府県の職員が附き添つた場合におけるその附添に要する費用 三 第八条及び第九条の規定による消毒及び廃棄に要する費用 四 第九条第三項の規定による損失の補償に要する費用 五 第十九条の規定による一時救護に要する費用 六 第二十条に規定する一時救護所の設置及び運営に要する費用 七 第二十一条の規定による援護に要する費用…(昭二九法七七・一部改正) (費用の徴収) 第二十三条の二 都道府県知事は、第二十一条の規定による援護を行つた場合において、その援護を受けた者に対して、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定により扶養の義務を履行しなければならない者(入所患者を除く。)があるときは、その義務の範囲内において、その者からその援護の実施に要した費用の全部又は一部を徴収することができる。 2 生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。…(昭二九法七七・追加) (国庫の負担) 第二十四条 国庫は、政令の定めるところにより、都道府県が支弁する費用のうち、第二十三条第一号から第六号までに掲げる費用については、その二分の一、同条第七号に掲げる費用については、その全部を負担する。…(昭二九法七七・一部改正) 第六章 雑則 (審査請求があつた場合の指定医の診察) 第二十五条 厚生大臣は、この法律又はこの法律に基づいて発する命令の規定により所長又は都道府県知事がした処分についての審査請求がらいを伝染させるおそれがある患者であるとの診断に基く処分に対してその診断を受けた者が提起したものであつて、かつ、その不服の理由が、その診断の結果を争うものであるときは、その審査請求の裁決前、第五条第二項の規定に準じて厚生大臣が指定する二人以上の医師をして、その者を診察させなければならない。この場合において、審査請求人は、自己の指定する医師を、自己の費用により、その診察に立ち会わせることができる。 2 第五条第三項の規定は、前項の医師について準用する。…(昭三七法一六一・一部改正) (公課及び差押の禁止) 第二十五条の二 第二十一条の規定による援護として金品の支給を受けた者は、当該金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。 2 第二十一条の規定による援護として支給される金品は、既に支給を受けたものであるとないとにかかわらず、差し押えることができない。…(昭二九法七七・追加) (罰則) 第二十六条 医師、保健婦、看護婦若しくは准看護婦又はこれらの職にあつた者が、正当な理由がなく、その業務上知得した左の各号に掲げる他人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。 一 患者若しくはその親族であること、又はあつたこと。 二 患者であつた者の親族であること、又はあつたこと。 2 前項各号に掲げる他人の秘密を業務上知得した者が、正当な理由がなく、その秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。 第二十七条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。 一 第四条第一項の規定による届出を怠つた者 二 第五条第一項の規定による医師の診察を拒み、妨げ、又は忌避した者 三 第九条第一項の規定による物件の授与の制限又は禁止の処分に従わなかつた者 四 第八条第二項又は第九条第二項の規定による当該職員の職務の執行を拒み、妨げ、又は忌避した者 五 第十条第一項の規定による当該職員の調査を拒み、妨げ、又は忌避した者 六 第十条第一項の規定による当該職員の質問に対して虚偽の答弁をした者 七 第十八条の規定に違反した者 第二十八条 左の各号の一に該当する者は、拘留又は科料に処する。 一 第十五条第一項の規定に違反して国立療養所から外出した者 二 第十五条第一項第一号の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく、許可の期間内に帰所しなかつた者 三 第十五条第一項第二号の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく、通常帰所すべき時間内に帰所しなかつた者 附 則 抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。 (旧法の廃止) 2 癩予防法(明治四十年法律第十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。 (従業禁止に関する経過規定) 8 この法律の施行の際、現に旧法第二条ノ二の規定により職業に従事することを禁止されている者は、第七条第一項の規定により業務に従事することを禁止されている者とみなす。 9 前八項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。 10 この法律及び行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十号)に同一の法律についての改正規定がある場合においては、当該法律は、この法律によつてまず改正され、次いで行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律によつて改正されるものとする。 附 則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。 (施行の日=平成六年一〇月一日) (諮問等がされた不利益処分に関する経過措置) 第二条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。 (罰則に関する経過措置) 第十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。 (聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置) 第十四条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのために手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。 (政令への委任) 第十五条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。 (注) 1.原文には、「らい」に傍点が付されている。 2.昭和二九年法律第七十七号、昭和三七年法律第百四十号、昭和三七年第百六十一号により一部改正されている。 〔改正〕 第九条 都道府県知事は、らい予防上必要があると認めたときは、らいを伝染させるおそれがある患者が使用し、又は接触した物件について、その所持者に対し、授与を制限し、若しくは禁止し、消毒材料を交付して消毒を命じ、又は消毒によりがたい場合に廃棄を命ずることができる。 二 都道府県知事は、前項の消毒又は廃棄の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその物件を消毒し、又は廃棄させることができる。 三 都道府県は、前二項の規定による廃棄によって通常生ずべき損失を補償しなければならない。 四 前項の規定による補償を受けようとする者は、厚生省令の定める手続きに従い、都道府県知事にこれを請求しなければならない。 五 都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。 六 前項の決定に不服のある者は、その通知を受けた日から六十日以内に、裁判所に訴をもってその金額の増額を請求することができる。 七 前項の訴においては、都道府県を被告とする。(注:本項、昭和三十七年法律第百四十号による追加) (親族の援護) 第二一条 都道府県知事は、入所患者をして安んじて療養に専念させるため、その親族(婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)のうち、当該患者が入所しなかったならば、主としてその者と収入をともにしていると認められる者で、当該都道府県の区域内に居住地(居住地がないか、又は明らかでないときは現在地)を有するものが、生計困難のため、援護を要する状態にあると認めるときは、これらの者に対し、この法律の定めるところにより、援護を行うことができる。但し、これらの者が他の法律(生活保護法(昭和二五年法律一四四号)を除く。)に定める扶助を受けることができる場合においては、その受けることができる扶助の限度においては、その法律の定めるところによる。 二 援護は、金銭を給付することによって行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他援護の目的を達するために必要があるときは、現物を給付することによって行うことができる。 三 援護のための金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。 四 救援の種類、範囲、程度その他援護に関し必要な事項は、政令で定める。 (注:本条、昭和二十九年法律第七十七号による改正) (都道府県の支弁) 第二三条 都道府県は、左の各号に掲げる費用を弁済しなければならない。 一 第五条第一項の規定による診察に要する費用 二 第六条の規定による措置に要する費用並びに同条第一項又は第二項の規定による勧奨又は命令による患者の入所に要する費用及びその入所に当り当該都道府県の職員が附き添った場合におけるその附添に要する費用 三 第八条及び第九条の規定による消毒及び廃棄に要する費用 四 第九条第三項の規定による損失の補償に要する費用 五 第十九条の規定による一時保護に要する費用 六 第二十条に規定する一時救護所の設置及び運営に関する費用 七 第二十一条の規定による救護に要する費用(注:本号、昭和二十九年法律第七十七号による追加) (費用の徴収) 第二三条の二 都道府県知事は、第二十一条の規定による援護を行った場合において、その救護を受けた者に対して、民法(明治二十九年法律八十九号)の規定により扶養の義務を履行しなければならない者(入所患者を除く)があるときは、その義務の範囲内において、その者からその援護の実施に要した費用の全部又は一部を徴収することができる。 二 生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は、前項場合に準用する。 (注:本条、昭和二十九年法律第七十七号による追加) (国庫の負担) 第二四条 国庫は、政令の定めるところにより、都道府県が支弁する費用のうち、第二三条第一号から第六号までに掲げる費用については、その二分の一、同条第七号に掲げる費用については、その全部を負担する。(注:本条、昭和二十九年法律第七十七号による改正) (審査請求があった場合の指定医の診察) 第二十五条 厚生大臣は、この法律又はこの法律に基づいて発する命令の規定により所長又は都道府県知事がした処分についての審査請求がらいを伝染させるおそれがある患者であるとの診断に基づく処分に対してその診断を受けた者が提起したものであって、かつ、その不服の理由が、その診断の結果を争うものであるときは、その審査請求の裁決前、第五条第二項の規定に準じて厚生大臣が指定する二人以上の医師をして、その者を診察させなければならない。この場合において、審査請求人は、自己の指定する医師を、自己の費用により、その診察に立ち会わせることができる。 2 第五条第三項の規定は、前項の医師について準用する。 (注:本条、昭和三十七年第百六十一号による改正) 〈第16回国会参議院本会議35号 1953年8月6日〉議事録より 常岡委員より次の附帯決議を附すべき動議が提出され、採決の結果、全会一致を以てこれを採択することに決定いたしました。 附帯決議 一、患者の家族の生活援護については、生活保護法とは別建の国の負担による援護制度を定め、昭和二十九年度から実施すること。 二、国立の「らい」に関する研究所を設置することについても同様昭和二十九年度から着手すること。 三、患者並びにその親族に関する秘密の確保に努めると共に、入所患者の自由権を保護し、文化生活のための福祉施設を整備すること。 四、外出の制限、秩序の維持に関する規定については、適正慎重を期すること。 五、強制診断、強制入所の措置については、人権尊重の建前に基き、その運用に万全の留意をなすこと。 六、入所患者に対する処遇については、慰安金、作業慰労金、教養娯楽費、賄費等につき、今後その増額を考慮すること。 七、退所者に対する更生福祉制度を確立し、更生資金支給の途を講ずること。 八、病名の変更については十分検討すること。 九、職員の充実及びその待遇改善につき一段の努力をすること。 以上の事項につき、近き将来、本法の改正を期すると共に、本法施行に当つては、その趣旨の徹底、啓蒙、宣伝につき十分努力することを要望する。 《厚生労働省ホームページ、その他のサイトの情報を参考に作成しました。》 |